Shopifyではさまざまな作業を自動化させることができ、ECストア運営にかかる時間や手間を減少させることができます。
Shopifyではプログラミング言語の知識は不要で、誰でもカンタンに自動化の登録ができます。
具体的には、トリガー、条件、アクションのブロックをドラッグアンドドロップするだけで、ECストア内のさまざまな動作を自動化させることができます。
では、例を通して、どのようなことが自動化できるのか紹介していきます。ぜひ、参考にしてみてください。
マーケティングの自動化
Shopifyには「Shopifyオートメーション」というマーケティング自動化機能が搭載されており、これを活用することで、売上向上に繋がるマーケティング活動を簡単に自動化することができます。以下で、その自動化できる便利なマーケティング例をいくつか紹介いたします。
前知識ーShopify メールについて
Shopifyストアでは、「Shopifyメール」アプリを使ってメールマガジンを配信することができます。
(お客様は顧客登録の時だけでなく、さまざまな箇所でストアのメールマガジンに登録することもできます。 )
たとえば、Shopify日本語テーマ「MISEル」ではフッターだけでなく、トップページや商品ページやなどほぼ全てのページにメールマガジン登録機能をつけることができます。
メルマガ登録者へのクーポン発信の自動化
Shopifyのマーケティング自動化の一例として、メールマガジンに登録したユーザーへのクーポン自動発信が挙げられます。ECストアで新しいお客様を獲得することは、リピーターを増やすよりも非常にコストがかかると言われています。このような状況で、クーポンは強力なマーケティングツールとして活躍します。
実際の店舗でも、クーポンの影響は大きいです。多くの人が「クーポンをもらったので、今まで行ったことのない店舗に足を運ぶ」経験を持っているのではないでしょうか。
上記は、Shopifyのマーケティング自動化のワークフロー作成画面の一部です。小さいブロックには「トリガー」、「条件」、「アクション」という機能が搭載されており、それらを線で繋ぐことで一連の処理の流れ(ワークフロー)を設定できます。
では、今回の自動化の処理の具体的なワークフローの例を見てみます。ワークフローでは以下の流れが考えられます:
- サイトの訪問者がメール登録を行う(トリガー)。
- 登録した顧客がまだストアで購入していないことを確認(購入後にクーポンが送信されないようにする条件)。
- 登録されたメールアドレスにクーポンを含むEメールを送信(アクション)。
クーポン付きEメールの作成には、Shopifyのクーポン発行機能とEメール送信機能を活用します。このようにシンプルなワークフローですが、非常に効果的なマーケティングを実現する手助けとなります。
上記はこの自動化処理でお客様に送られる、クーポン付きの「メルマガご登録ありがとう」Eメールの例です。
Shopify ではこういったクーポン埋め込み・商品の埋め込みなどのEメールのカスタマイズが簡単に行えるようになっています。メール作成に関してはこちら 「Shopifyメールを使ってメールマーケティングをしよう」の記事も参考にしてみてください。
パーソナライズされた「Thank you」メールの送信
ECサイト運営は対面型の店舗とことなり、直接的な「接客」が難しいと思われるかもしれません。
確かに、直接の対話による接客はできませんが、お客様一人ひとりの好みや行動に合わせた提案やメッセージの送信は、自動化によって行えます。
例えば、購入者への「Thank you」メールでは、SNSで特定のクーポンを利用したお客様には、「いつもTick Tockをご覧いただきありがとうございます!」というよりパーソナライズされたメッセージを送ることができます。
このようなきめ細かな対応は、以前は対面型の接客でしか難しかったものですが、現在は技術の進化によりECサイトでも実現可能となりました。そして、これは顧客のロイヤリティを向上させる効果も持っています。
カゴ落ち商品へのアプローチ
チェックアウトが完了していないお客様へのアプローチ、いわゆる「カゴ落ち」の対応は、Shopifyオートメーションを活用することでより効果的に行うことができます。商品をカートに入れてチェックアウトまで進めたけれど、最後の注文確定の一歩手前で止めてしまうお客様は多いもの。このようなお客様を購入に至らせる戦略は、ECサイト運営において重要です。
Shopifyオートメーションを用いれば、「カゴ落ち」のお客様への対応を柔軟に設計できます。例えば、注文が確定しなかった1時間後にリマインダーのメールを送信。さらに24時間後にはフォローアップのメールを、そして3日後には購入を促すディスカウントクーポンを含めたメールをお客様に送るといった戦略が考えられます。このようなアプローチは、Shopifyを活用しているストアに特有の、非常に効果的な方法と言えるでしょう。
個別の好みに合わせた提案型のメール
個々の好みに合わせたのメールは、提案型接客として非常に効果的です。お客様が購入した特定の商品に基づいて、他の関連商品を推薦するという自動化は、Shopifyを利用して実現可能です。これはとくに専門店などでの強みとして活かせる要素です。
例として、エレキギターを購入したお客様には、次に役立つ商品としてギターアンプやギター関連のアクセサリーを提案することが考えられます。エレキギターの種類やジャンルに応じて、適切なギターアンプやアクセサリーを選び、その専門知識を活かして提案するメールを送信することができます。
上記の例では、特定の商品タグを持つ商品を購入したお客様に対して、10日後にその商品に関連する推薦商品の紹介メールを送るワークフローを示しています。この際、購入を促進するためのクーポンの付与も効果的です。(メールの内容は、Shopifyメール機能を使用して事前に作成しておくことが推奨されます。)
乱発される一般的なセール情報のメールよりも、このような専門店の強みを活かした提案は、お客様にとっても価値があり、より効果的なアプローチと言えるでしょう。
このエレキギター → アンプのようなシンプルな提案は誰でも思いつくかもしれません。しかし、専門店の真の強みは、ロック向きのギターにはロック向きのアンプ、ジャズ向きのギターにはジャズ向きのアンプを推薦するといった、細かなジャンルに応じた提案ができることにあります。このような深い知識を活かして、個々の好みに合わせた提案のメールを工夫することで、ストアの価値をさらに高めることができるでしょう。
あなたのストアで提供している商品やサービスには、独自の特徴や魅力があるはずです。それを活かした提案が、お客様からの信頼を得るための鍵となるでしょう。あなたが一番よく知っているストアの特長や商品を元に、お客様にとって価値ある提案をすることができます。そして、Shopifyはそのようなアイデアや提案をスムーズに自動化してサポートしてくれます。
成果の確認もできる
Shopifyオートメーション・Shopifyメールを利用したマーケティングメール作成では、送信したメールの開封率や、そのメールが購入にどれだけ寄与したかなどの効果測定が手軽に行えます。このようなデータは非常に価値があります。
具体的な数字をもとにメールの内容や送信フローを改善する手がかりとなり、改善にも役立ちます。例えば、開封率が低い場合は件名の工夫が必要かもしれませんし、高い開封率でも購入につながらない場合は、コンテンツの質やクーポンの有効性を見直す必要があるかもしれません。
このような分析を行うことで、メールマーケティングの効果を最大限に引き出すことができるのです。Shopifyの効果測定機能を上手く活用して、マーケティング戦略の最適化を進めることが手軽に行えます。
基本的なワークフローのテンプレート
Shopifyオートメーションは、非常に柔軟性が高く、細かな条件設定やさまざまなワークフローを自由に作成することができます。特定の商品に基づいた提案や、お客様の好みに合わせたメール送信などの高度な設定も可能です。
その多機能性から、初めてShopifyを利用する方や、オートメーションの設定に慣れていない方は、どれを使えば良いのか、どのように設定すれば効果的かなど、迷ってしまうこともあるかと思います。
ですが、Shopifyはそんな利用者のことをしっかり考慮しており、よく使われるワークフローをテンプレートとして用意しています。そのため、Shopify初心者でも、これらのテンプレートをベースに独自のワークフローをカスタマイズしたり、そのまま利用することで、迅速にマーケティング活動を開始することができます。
このように、Shopifyオートメーションは初心者から上級者まで、幅広いニーズに応えることができるツールと言えるでしょう。
Shopify Flowによるストア運営の自動化
Shopifyの自動化は、単なるマーケティング手法だけにとどまりません。Shopify Flowを利用することで、ストアの日常運営やバックエンドのプロセスも効率的に自動化することが可能となります。
Shopify Flowは、Shopifyのメールマーケティング自動化と同様に、煩雑なプログラミングやコードを書くことなく、シンプルに「トリガー」や「条件」などのブロックを連結することでさまざまなオートメーションを設定できるツールです。
すこしイメージしにくいかもしれませんので一つ具体的な例をみてみましょう。
配送のリマインダー
例えば、フルフィルメントを異なる部署で行っていて、まだ配送が済んでないオーダーに関してのリマインダーを自動で送るようにできます。
お客様オーダーをしてから5日以上経っているのに、配送済になっていないオーダーを自動で検知して、そのオーダーについて確認するようにフルフィルメントの部署にメールを送る。というような自動化も行うことができます。
上記の図のワークフローでは
- トリガーの設定: “オーダーが作成された時”をトリガーとして設定。
- 待機アクションの追加: このトリガーが発火した後、5日待機するアクションを追加
- 条件の設定 :次に条件を追加して、”オーダーステータスがフルフィルメント未完了”となっているかどうかをチェックします。
- アクションの設定: 上記の条件がTrue(未完了)だった場合、指定のメールアドレス(フルフィルメント部署のアドレスなど)に、画面右の内容のようなリマインダーのメールを自動送信するように設定しています。
メール内容
高度な設定となりますが、メール内容に変数を含めることもできます。
画面メール本文内の括弧でくくられたコードです。
今回の例でいうと「お客様の名前」であったり、「オーダーのID」などです。もちろん他の詳細な情報も含めることも可能です。変数を含めることにより、リマインダーメールの中に、該当するオーダー情報も含めることができます。
またこれらの変数は直接コードを記述しなくても、選択によって挿入することが簡単にできます。
このように、Shopify Flowを利用することで、多岐にわたるストアの運営タスクを効率的に、かつエラーフリーに行うことができるのです。これにより、手間と時間を大幅に削減し、集中的に成長戦略やマーケティング施策に注力することが可能となります。
アプリによる自動化
またShopifyにはShopifyアプリというストアの機能を拡張できる仕組みがあります。
ちょうどスマートフォンにLINEやPayPayなどのアプリをインストールして、本体の基本機能(初期アプリ)だけでは行えない機能を追加するようなものです。
Shopifyアプリの中にもストアの運営の自動化を手助けしてくれるものがあります。
TēPs(テープス)アプリ・サービス
TēPs(テープス)(サービス名)は、テープス株式会社が提供する、EC事業特化型のノーコードクラウドサービスです。
Shopifyのアプリを通じて、Shopifyストアと簡単に連携が可能です。Shopifyオートメーションのように、ブロックを組み合わせてワークフローを構築できるため、プログラミングの知識がなくても自動化処理を簡単に設定できます。
その操作画面は直感的で見やすく、利用者にわかりやすいデザインとなっています。Shopify Flowには日本語化されていない部分がまだ存在しますが、TēPs(テープス)は日本の会社が提供しており、日本語によって構成されているため、英語に不慣れなユーザーにも利用しやすいサービスです。
以下は、ワークフローの作成画面(TēPs内では「フレーズ」と称されています)の紹介です。
ブロックを連結することで自動化処理を簡単に構築できます。全ての操作が日本語で表示されるため、直感的に利用することができます。Shopify Flowで英語表示だった変数も、TēPs(テープス)では日本語で表示されており、非常にわかりやすくなっています。
外部との連携
ShopifyユーザーがTēPs(テープス)の最大の利点は外部サービスとの連携の容易さといっても良いでしょう。
Shopify内での業務はShopify Flowを使用して自動化が可能ですが、Shopify以外の外部サービスとの一括連携は難しい状況です。しかし、TēPs(テープス)を利用すれば、Yahoo!ショッピング、ネクストエンジン、楽天市場RMSなどの多くのサービスとShopifyストアを簡単に連携させ、自動化を実現できます。
具体的には、「楽天市場の在庫をShopifyに自動で反映する」や「Shopifyの注文の更新をネクストエンジンに自動で反映」などの機能が実現できます。これらの機能は、Shopifyだけでなく他の市場でも販売を展開している事業者にとって、極めて有益です。
わかりやすいテンプレート
さらに、TēPs(テープス)には多くの事前に設定されたテンプレートが用意されており、それぞれが国内の事業者のニーズに特化したものであるため、安心して活用することができます。
これらのテンプレートから簡単にフレーズ(ワークフロー)を構築でき、自分のサイトや必要な変数にカスタマイズするだけで、効果的な自動化処理を実装することができます。
Googleスプレッドシートとの連携
とくにTēPs(テープス)とGoogleスプレッドシートとの連携は非常に強力です。
Googleドスプレッドシートを使って商品や注文情報などを管理したい事業者にとっては非常に役に立つものとなっています。
テンプレートもGoogleスプレッドシートとの連携が充実しています。
これまで手作業で何時間もかけて行っていた作業をテープスサービスを通じて自動化できます。また処理は定期的に実行を行うようにでき、手動でのスタート操作すら不要になります。
Googleスプレッドシートでデータを集計・分析・管理したい事業者にとって、TēPsのこの機能は非常に魅力的です。
ひとつ具体的な例をみてみます。
Googleスプレッドシートの在庫をShopifyに連動させる。
Shopifyの商品の在庫状況をGoogleスプレッドシートから更新するという自動化処理を行ってみます。
こちらは現在Shopifyストア上の在庫状況です。
Googleスプレッドシートに新しい在庫情報を入力します。
TēPs(テープス)の自動処理を実行します。(実際は定期的に実行が可能です)
自動処理のログも確認できます。
ではShopifyストアで先程の在庫がどうなったか確認してみましょう。
ごらんのようにGoogleスプレッドシートで更新した在庫状況がTēPs(テープス)により同期されたのがわかります。
また同期した際の情報もGoogleシートに書き込むこともできます。
この例ではGoogleスプレッドシートをもとにShopifyを更新する。という処理でしたが、もちろんShopifyの注文情報などをGoogleスプレッドシートにインポートすることも可能です。
一度Googleスプレッドシートが情報を取得さえすれば、GoogleスプレッドシートにはGoogle Apps Script(グーグル アップス スクリプト)などの強力なツールが揃っています。集計や分析そのものの自動化など効率化の可能性はさらに広がるでしょう。
TēPs(テープス)サービスの詳細はぜひこちらからご確認ください。
まとめ
オンラインストアの特性上、対面型の店舗のような提案型の接客は難しいと思われがちです。しかし、適切な工夫をすることで、対面型の店舗と同等、もしくはそれ以上の接客体験を実現することも十分可能です。そのような工夫を実現するための環境がShopifyには用意されています。
オンラインストアのメリットとして、遠方の顧客獲得やデータ収集の効率性が挙げられることが多いですが、業務フローの簡易な自動化が可能な点も大きな魅力として考慮すべきでしょう。こういったオンラインストア運営の業務フローの自動化はこれからますます注目されていくでしょう。