フォントについて知ろう
ウェブサイトのデザインにおいてどういった「フォント」を選ぶかは重要な要素の一つです。見た目だけではなく、文字が読みやすいかなどのユーザービリティにも関連してきます。
フォントは、企業や商品の顔でありブランドシンボルになるため、オリジナルでフォントを開発する企業も多くあります。
また、英語圏を中心としたアルファベットは、それぞれの書体が生み出された場所や歴史的な背景があり、フォントの知識を持たないで使っていると、日本の文化を知らないで使われているサムライのように違和感を与えることになります。
そういった「フォント」の世界は非常に奥が深いのですが、ある程度基礎を覚えておくことで、適切な「フォント」選びの役立ちます。
インターネットの黎明期では情報のほぼすべてが「フォント」(文字)で構築されていました。今はインターネット環境の進化にともない画像や動画などのウェイトが大きく台頭してきましたが、「フォント」(文字)による情報は今も大きなウェイトを占めています。
「フォント」はウェブサイトの可読性に大きく影響してきます。それだけでなく、感情に訴えるものとも言われています。感情というと大げさかもしれませんが、ウェブサイトの雰囲気を決定づける要因の一つであることは確かです。
言葉によるメッセージは内容が大切ですが、それがどのような「フォント」でどのように伝えられるかによって、メッセージの内容に対する印象も必然的に変わってくるということです。それは意図せず起こることでもあるので、すこしやっかいかもしれません。
世界的企業になったApple。スティーブ・ジョブズはこの「フォント」に非常にこだわりました。Appleコンピュータが世界的に売れる前、コンピュータはデザイン・審美的な側面より機能的な面が重視されていて、「フォント」にこだわるという発想はあまりなかったようです。ですが、スティーブ・ジョブズは大学時代にカリグラフィーを学んだことがあり、それが「フォント」にこだわるきっかけになったと言われています。
当時は今よりもコンピュータ上におけるコミュニケーション・操作などすべてにおいて「文字」によるウェイトが大きく占めていました。文字に深く関わる「フォント」は非常に重要なはずだったのですが、だれもあまり意識してなかった。そこに目をつけるというのはさすがスティーブ・ジョブズだと言えるかもしれません。
今もAppleコンピュータを使っていて快適という人は、実は操作性・機能性だけでなく、この「フォント」こだわりの恩恵を知らずに受けているともいえるかもしれません。
コンピュータを使って仕事していれば1日に文字を何千・何万と見ることは珍しくないと思います。もしかしたら人によっては、「寝る時間」よりも「人と会って話す時間」よりも「文字を”見ている”時間」というのが、人生でもっとも大きい割合を占める。そんなのも現代社会では珍しくないのかもしれません。おそらくこの記事を読んでくれている方は心当たりはあるのでは?とも思います(笑)
美しい「フォント」を使えば文字を読むことの負担も減ります。逆をいえば醜い「フォント」だと知らないうちにストレスを積み重ねることになるかもしれません。
話は少しそれましたが、「フォント」を学び適切に選ぶことは、その意図せず起こるメッセージ内容以外の情報をコントロールし、快適なウェブサイトの構築の助けとなることでしょう。
フォント
お気づきかもしれませんが、前述でフォントに「フォント」とカッコ書きにしたのは理由があります。
一般的に文字の種類をフォントと読んでいますが。フォントというには細かく意味がわけられそれぞれ別の用語が使われています。フォント・タイプフェイス・タイポグラフィなどです。
タイプフェイス Typeface
タイプフェイス(書体)とは、実際の文字一式のデザインのことを指していて。Arial、明朝、ゴシックなどがタイプフェイスとなります。ですが、いわゆるフォントもこの意味で使われてしまっていることが多いです。
フォント Font
狭義ではフォントは厳密にはコンピュータにインストールするソフトウェアのことをさします。例えば、新しく「sawarabi 」というタイプフェイスを使いたい場合、タイプフェイスを売っている・配っているページに行って、”フォント”ファイルをダウンロードしインストールするという感じです。このフォントファイルの形式には「WOFF」・「FNT」・「TTF」などの様々なものがあります。
タイポグラフィ Typograph
タイポグラフィは活字をつかった技芸の意味を指します。 wikipediaの解説をみると、
タイポグラフィは活字(あるいは一定の文字の形状を複製し反復しようして印刷するための媒体)を用い、それを適切に配列することで、印刷物における文字の体裁を整える技芸である。
とあります。どのようにタイプフェイスを使うか・どのバリエーションやスタイル・サイズを使うかを決めることがタイポグラフィと言えます。
グリフ Glyph
グリフ(Glyph)、これはフォントファイルに含まれている一つ一つの文字を指します。文字をキャラクターCharactorやLetterともいいますが、フォントファイルには数字や文法的なシンボルも含まれていて、それらも含めてたものをグリフと呼びます。
まとめ
例えが難しいですが、「タイポグラフィ」が「音楽」という広い意味だとすると、「フォント」はmp3とかAiff とかファイル・ソフトを意味して、「タイプフェイス」は実際の「曲」を意味する感じかもしれません。「グリフ」はさながら1音1音を意味する「トーン」といった感じでしょうか?
もしあなたの友だちとドライブをしていて、なにか音楽聞きたくなったとき、本来なら「なにか良い曲(タイプフェイス)選んでかけて!」と友だちに頼むことはあっても「なにか良いmp3(フォント)を選んでかけて!」と言うことはないと思います。
ですが、「フォント」という言葉は、現在タイプフェイスの意味でも使われている場面が多い感じです。この記事でも時々どちらの意味でも使っている場合もあるのであしからず。