以下では、Shopify Editions 2025年冬(Winter 2025)における「拡張機能(<developer向け>)」のアップデートをまとめています。
セルフサービス返品やPOS拡張、ディスカウントアプリ構築、Functions対応の強化など、開発者が活用できる機能やAPI拡張が一気に進化し、高度なカスタマイズや業務効率化がさらに追求しやすくなりました。
特にShopify Plusを利用している事業者にとっては、B2B顧客にも対応可能なピクセル計測や下書き注文ワークフローなど、多様なニーズを満たす新要素が多数含まれています。
目次
- 1 1. セルフサービス返品のAPI
- 2 2. 様々なPOSアクション拡張・POSブロック拡張機能
- 3 3. 拡張機能によるディスカウントアプリ構築
- 4 4. Functionsが25種類の自動割引に対応 & 下書き注文
- 5 5. 実行制限の動的スケーリング
- 6 6. チェックアウトにおけるギフトカードの無効化
- 7 7. チェックアウトのチャットアプリ
- 8 8. UI拡張機能の条件付きレンダリング
- 9 9. 購入オプションUI拡張機能の改良
- 10 10. 継続的なカート認証
- 11 11. 項目表示のカスタマイズ(Checkout Branding API)
- 12 12. フルフィルメントアプリ専用の管理権限・ルールの拡張
- 13 13. Shopify Subscriptions Referenceアプリ
- 14 14. ピクセルによるB2Bコンテキストとチェックアウトアラートの追跡
- 15 15. アプリ固有オブジェクトのリソースピッカー
- 16 16. API経由のセグメント参加・離脱イベント
- 17 17. 印刷拡張機能がPDFに対応
- 18 18. 定期購入の売り越し防止
- 19 19. 配送オプションのメタデータ
- 20 20. Cookieバナーのメタフィールド
- 21 21. GraphQL orderCreate API
- 22 22. ピクセルによるセッション録画
1. セルフサービス返品のAPI
•Customer Accounts Return API
このAPIを利用することで、お客様向けの返品フローやアプリをセルフサービスで開発可能になります。
•顧客体験の向上
返品プロセスの効率化と透明化により、顧客満足度の向上を目指せます。
2. 様々なPOSアクション拡張・POSブロック拡張機能
•POSアクション拡張機能
商品や顧客、注文インデックスのインターフェースを独自に拡張し、実店舗とオンラインが連動したユニークな体験を提供できます。
•POSブロック拡張機能
POS上の画面にインライン情報を表示し、スタッフが迅速に接客できるよう必要なデータを追加可能に。UIの一貫性を保ちつつ、高い柔軟性を確保します。
3. 拡張機能によるディスカウントアプリ構築
•ShopifyホストのUI
管理拡張機能を使うことで、ディスカウントロジックを持ったアプリをShopifyのUIに直接組み込めます。
•コード維持コストの削減
不要なホスティングやコードの管理が減り、開発者は割引のビジネスロジックに集中できます。
4. Functionsが25種類の自動割引に対応 & 下書き注文
•最大25種類の自動割引
Shopify Functionsが強化され、入力クエリのパフォーマンス向上を含め、多彩なキャンペーンやディスカウント戦略を組み立てやすくなりました。
•下書き注文対応
APIバージョン2024-07以降、チェックアウト拡張機能やFunctionsが下書き注文にも適用され、B2Bや特別顧客向けの複雑なルールを一貫して管理可能に。(※Plus限定)
5. 実行制限の動的スケーリング
•200項目超えのカート対応
大規模カートに対してもFunction実行が柔軟に拡大され、高負荷なセール時期などにも安定動作を実現します。
6. チェックアウトにおけるギフトカードの無効化
•Payment Customization Function API
ここで定義したロジックに基づき、ギフトカードの使用を特定条件下で無効化可能。
•シナリオ例
特定クーポンとの重複割引を避けたい場合など、高度な決済ルールが組みやすくなります。
7. チェックアウトのチャットアプリ
•チャットUIの埋め込み
チェックアウトページやサンキューページにチャット機能を配置し、顧客サポートやアップセル提案が可能。
•開発者の自由度
ストア・チェックアウト情報の照会ができるため、リアルタイムにカスタマイズした接客体験を提供できます。
8. UI拡張機能の条件付きレンダリング
•アクション表示の制御
必要に応じて拡張機能を非表示・最小化し、特定のマーチャントのみ要素を表示可能に。
•ユーザビリティ向上
不要なUI要素を排除して、操作性を洗練できます。
9. 購入オプションUI拡張機能の改良
•単一拡張でサブスクリプション・予約注文など
購入オプションに関する機能をより簡単に作成・管理でき、ワークフローの見通しが向上します。
10. 継続的なカート認証
•CustomerAccessToken & Storefront API
ストアフロントでログインした顧客をチェックアウトへシームレスに引き継げるように。
•UXの一貫性
一度ログインした顧客が、スムーズに決済に進めるため、カート離脱防止に効果的。
11. 項目表示のカスタマイズ(Checkout Branding API)
•画像の縦横比、数量バッジのカスタマイズ
さらに洗練されたチェックアウト表示を行い、ブランド独自の世界観を反映できます。(※Plus限定)
12. フルフィルメントアプリ専用の管理権限・ルールの拡張
•専用権限
フルフィルメントは割り当てられたアプリでしか行えないようになり、誤配送や手動操作ミスを防止。
•ローカルデリバリーや店舗受け取りにも対応
配送方法ごとにフルフィルメント条件を設定し、複雑なシナリオに合わせた最適な注文処理を実現。
13. Shopify Subscriptions Referenceアプリ
•サブスクリプション構築の参考
オープンソース的に利用できる参考アプリが登場し、カスタムサブスク機能の構築がさらに容易に。
14. ピクセルによるB2Bコンテキストとチェックアウトアラートの追跡
•B2B・D2Cの区別
ウェブピクセルでさまざまな顧客タイプをトラッキングし(※Plus限定)、マーケティング施策の精度を高められる。
•チェックアウトアラート
拡張機能エラーやアラートをピクセルに送信し、購入フロー中のトラブルを可視化。改善ポイントの把握に有用です。
15. アプリ固有オブジェクトのリソースピッカー
•埋め込みアプリ&管理画面UI拡張
開発者がアプリ専用のカスタムデータを簡単にピックアップ・編集でき、操作性を向上させます。
16. API経由のセグメント参加・離脱イベント
•Webhook対応
顧客がセグメントに参加・離脱したタイミングで通知を受け取れるため、自動マーケティング施策などにも組み込みやすい。
17. 印刷拡張機能がPDFに対応
•印刷フローの最適化
PDF・HTML・画像を生成し、注文や商品に関する印刷オペレーションをシームレスに統合。
•領収書・納品書など
店舗や倉庫での作業効率を高める施策として活用可能です。
18. 定期購入の売り越し防止
•Selling Plans API
サブスクリプション注文が、在庫切れの場合に新規注文を抑制でき、顧客体験の混乱を回避します。
19. 配送オプションのメタデータ
•カスタムメタデータ
配送方法や受取場所ごとに、付加情報をアプリブロックでチェックアウトへ表示可能。
•柔軟なUI拡張
顧客の選択肢を増やしつつ、ブランドや配送ポリシーに合わせた表現ができます。
20. Cookieバナーのメタフィールド
•Customer Privacy JS API
ストアフロントからチェックアウトまで、Cookieバナーの設定やカスタムデータを引き継げるように。
•プライバシー&コンプライアンス
国際的な規制に対応したCookie同意フローを簡単に実装可能です。
21. GraphQL orderCreate API
•RESTからの移行促進
orderCreateのGraphQLエンドポイントが追加され、一貫したインターフェイスで注文管理ができます。
•開発効率向上
同じGraphQLスキーマで他の操作もまとめられ、APIコールを統合しやすいメリットがあります。
22. ピクセルによるセッション録画
•コンプライアンス準拠の録画
購入体験やエラー箇所を録画し、UX改善やサポート品質向上に役立てられます。
•イベント追跡との連携
他のピクセルイベントと併用して、顧客行動の全体像を把握しやすくなります。
まとめ
Winter 2025の拡張機能アップデートは、セルフサービス返品からPOS拡張、ディスカウントアプリ構築、Functionsと下書き注文対応、ピクセルでのB2Bとチェックアウトアラート計測など、多彩な場面でShopifyストアをカスタマイズ・高度化できる環境を整えました。
とりわけShopify Plusでは、大規模商流やB2B顧客、複雑な在庫管理に対応するための機能が格段に強化されています。
開発者はこれらの新機能を組み合わせることで、店舗運営者のニーズに応じた最適解をより自由に提供できるでしょう。