オンラインストア開設をお考えの事業者(マーチャント)の方の中にはShopifyについて目にすることも増えてきたかと思います。
もしくはすでにShopifyを検討している・使用しているマーチャントも多くいらっしゃるかもしれません。Shopifyとは、自社EC構築のためのプラットフォームで、EC初心者でもオンラインストアを素早く簡単に立ち上げ、商品を販売しオンラインの支払い処理を可能にしてくれます。
Shopifyでは、様々なビジネスの規模に合わせていくつかプランを用意しています。通常初めてオンラインストアを立ち上げるにはベーシックと呼ばれるプランをオススメしています。ですが、Shopifyでは、取引量が多い・急成長の見込みがある場合のためにShopify Plusと呼ばれる上位のプランが用意されています。
今回はこのShopify Plusについて紹介していきます。
目次
通常Plan vs Shopify Plus
最も単純に・簡単に一言でプランを区別すると、下記のような分類になります。
- 通常プラン(ベーシックなど)は起業家や中小企業向け。
- Shopify Plusは取引量の多いブランドや大企業向け。
ですが、Shopify Plusはただ取引量だけでプランが決まるものでもありません。通常プランではなくShopify Plusのプランを選ぶ理由は他にもたくさんあります。
Shopify Plusが選ばれる理由
Shopify Plusは主に下記のような理由でマーチャントに選ばれています。
- カスタマイズの自由度
- 決済手数料
- 連携のしやすさ
- 拡張ストア(越境B2B)
- 専用サポート
- Shopify Pos Pro
- Shopify Plusの専用の機能(卸売チャネルなど)
ひとつひとつ見ていきます。
カスタマイズの自由度
Plusになるとより自由なカスタマイズが可能でお客さまの購入体験をよりパーソナライズしたものにすることができます。
パーソナライズされた購入体験
例えば、
- 会員のレベルを設定して、レベル毎に会員割引を行う
- 2個購入で10%割引、3個購入で15%割引などの割引の段階を設置
- もしくは購入金額買うに応じて割引
- ひとつ購入するともう一つはプレゼント
といったお客さまに応じたより詳細な購入体験を提供することができます。
チェックアウト画面
また日本の商習慣に応じたチェックアウト画面のカスタマイズも可能です。
- 日時指定や定期オプションの追加
- ギフト包装、名入れなどオプション対応
- Google Tag Manager設置でチェックアウトまでを分析
決済手数料
上位のプランほどShopify Paymentの決済手数料が安くなります。また外部の決済会社を利用している場合の取引手数料も下がります。
ベーシック ($25/月) |
スタンダード ($69/月) |
プレミアム $299/月 |
Plus $2000〜/月 |
|
---|---|---|---|---|
日本のカード手数料 | 3.4% | 3.3% | 3.25% | 3.15% |
海外/Amexのカード手数料 | 3.9% | 3.85% | 3.8% | 3.75% |
JCBのカード手数料 | 4.15% | 4.1% | 4.05% | 3.75% |
外部決済の取引手数料 | 2% | 1% | 0.5% | 0.15% 0%(Shopify Payment利用時) |
参考2022年10月: https://www.shopify.com/jp/pricing
上位のプランになれば手数料が下がるので売上が大きいほど相対的には上位のプランのほうが利益が大きくなります。
ただ、Shopify Plusにするメリットは、単純な手数料による利益幅のことだけでは測れません。他の専用の機能・サービス面などを踏まえてShopify Plusを検討するのが良いでしょう。
Shopify Payment は Shopifyが提供している決済サービスで外部の決済会社のサービスを利用することなくVisa・Master・Amex・JCBなど主要なクレジットカード決済が利用いただけます。 基本的にプランの中に決済サービス利用料も含まれています。
外部との連携のしやすさ
Plusでは外部のサイトのログインと統合が行えるようになります。
例えば、LINEとストアの会員のアカウントを連携させて、購入後に通知が届くなどを行えるようになります。
また外部のサービスと連携することで、より詳細な顧客情報や購入履歴に応じたより高い精度での分析・マーケティングなどが行えるようになります。
拡張ストア
Shopify Plusには拡張ストアと呼ばれるサービスがあります。
Shopify Plusの一つの契約で、同一ブランドであれば追加で最大9個のストアフロントを開設することができます。
主なメリットは海外の地域市場ごと特化したストアを作成することができます。例えばアジア向け、北米向け、ポップアップストアといった感じでストアフロントをわけることができます。
また、この機能でテストストアや重点商品専用ストアなども作成できます。
Shopify POS Pro
Shopifyの実店舗とオンラインを融合した汎用性の高いPOSシステムが使えるようになります。 下記のようなことを実現したいストア・ビジネスでは多いに役にたってくれるでしょう。
- オンラインと店舗の在庫管理を一元管理。
- 店舗にきたけど、在庫がない。そんなときには在庫のある場所からお客さまの住所に直接配送指示。
- オンラインや別店舗の商品の返品や交換もShopify POSレジアプリで対応。
- 複数ある店舗さらにはオンラインストアを同じシステムで統合し、シームレスな購入体験。
ここ数年の間にD2C(製造者が直接消費者に向けて販売を行う)をオンラインで行う事業が増えてきました。またすでに実店舗が複数ありオンラインでも販売を行うというのが増えてきました。
コロナ禍もありオンラインで買い物を済ませてきたけど、やっぱり実店舗でも買い物がしたいという消費者の動向も見られるようになってきました。
ただ、それと同時に同じブランドなのにオンラインストアと実店舗での乖離が弊害ととなっている面もあるようです。
たとえば、オンラインストアでは顧客にパーソナライズされた丁寧な接客が良く何度もリピートしていたので、実店舗に訪れてみたら、実店舗では”一見さん”として扱われこちらの要望が伝わらなかったなどの声もあるようです。
実店舗での接客する側としては、そんなつもりはなかったけど、オンラインでどんな買い物・好みがあったかは把握できないという乖離がおきてしまっているようです。
Shopify PlusのShopify Posでオンラインストアと実店舗での連携をはかることができれば、お客さまがどういったものをオンラインストアで購入されたかを確認することができ、実店舗でもシームレスな対応が可能となります。
これからのトレンドとして
こういったオンラインストアと実店舗のシームレスな顧客体験というのはこれからのトレンドとなってくるものだと思います。
実際日本でもすでに、大手ブランド・マーチャントではこの実店舗とオンラインのシームレス化に取り組み実用化しているところも見られます。例えば、実店舗で商品を見て、ネットで注文して、自宅で受け取るなどのユーザーフローを意識したサービスを取り入れているところもあります。
某大手ショップのネット販売と実店舗の連携サービスのテレビCMも最近は良くみるようになってきました。
持ち帰るには商品が大きい・小さなお子さんがいて買い物が大変というお客さまには大変良いサービスかと思います。
オペレーションの改善
ストアが大きくなりで取り扱い商品の種類・量が増えるとオペレーションんが煩雑化してきます。 Shopify Plusではシステムの統合・自動化・セキュリティ強化などの改善に対応しています。
専用サポート
ShopifyではShopify Plusの契約者専用のサポート体制を用意してくれています。
Shopify側からより手厚いサポートが受けられるようになります。
またPlusの中でも選ばれたマーチャントは専用のマーチャントサクセスマネージャーと呼ばれる専任のサポートが付きます。売上・戦略・運営改善・技術相談などビジネスの成長といったより個別の相談が受けられるようになります。
サポートのサービスもShopify Japanのスタッフが担当し日本語で受けられます。
Shopify管理画面の操作方法・注文・支払い の質問 不具合の問い合わせ |
選ばれた案件について売上・戦略・運営改善などに関する相談 | |
---|---|---|
連絡先 | Plusサポートスペシャリスト | マーチャントサクセスマネージャー |
連絡手段 | メール・チャット | メール・打ち合わせ |
対応時間 | メール:平日9:30ー17:30 チャット:平日: 10:00-16:00 |
平日:9:30ー17:30 |
言語 | 日本語 | 日本語 |
対応時間は平日の昼間の時間帯のみとなっていますが、英語であれば24時間365日対応可能だそうです(チャットサービス)。
マーチャントサクセスマネージャーの相談
ここでマーチャントサクセスマネージャーと聞き慣れない言葉があるかもしれません。
通常のサポートは、いわゆるカスタマーサポートのようなもので、基本的なサービスの機能のサポートをしてくれます。例えば、不具合が起こった場合や、基本的な機能についての質問などなど。“現在”起こっている問題についてサポートしてくれます。
一方、マーチャントサクセスマネージャーは、”今後”のことについてサポートを行ってくれます。1ヶ月先・半年先・1年後、マーチャントがどのように成長していけるかを相談に載ってくれるサポートとなっています。
Shopifyでは、マーチャントサクセスサポートを「マーチャントが構想する「コマースのミライ」を実現するサポート」と謳っています。
また単純な技術面に限らず、Shopifyの機能やAppを活用した戦略・戦術にいたるまでをサポートしてくれます。
ECのプラットフォームを提供している大元のECのエキスパートがサポートをしてくれるので非常に心強いサービスだと言えるでしょう。
ShopifyのマーチャントサクセスのチームによるShopify Plusを取り入れたマーチャント様の多くが飛躍的な成長をされているそうです。
Shopify Plus専用機能(卸売チャネル)
売上の規模にかかわらずShopify Plusを選ぶ理由の一つにやはり専用の機能があげられます。その中でも一つShopifyで卸売が行えるShopify Plusの機能「卸売チャネル」についても紹介します。
卸売専用のストフロント
Shopify Plusでは 通常のオンラインストアとは別の卸売専用のストアフロントが作成可能になります。この卸売ストアフロントのページや商品はGoogleなどの検索エンジンに登録されず、またストアそのものにロックをかけ、限られた人のみがアクセス購入できるようにすることができます。
価格のカスタマイズ
ストア全体やコレクションで割合ベースのディスカウントが行えます。また同じ商品でも卸売専用の価格表を作成することにより、A社用の掛け率、B社用の掛け率と値段を卸売先ごとに設定して販売することができます。
注文の処理、注文書作成
卸売ストアでのアカウントを持っている顧客(卸売先)はログインをして注文書を作成が行えます。そしてストア側はその注文書に対して決済期間の割当の自動化・カスタマイズされた請求書メールなどが送信可能になります。
このれらのようにShopify Plusには卸売を行うための機能が備わっているため、卸売でも販路を拡大したいマーチャントに向いています。
もしくはD2Cを行うつもりはない・業務用機器しか販売していない等の製造業者でも、今の卸売のオペレーションを改善・効率化したいという場合にも使えるものになっています。
Shopify Plusの料金
Shopify Plusの料金は月額 が$2000〜となっています。
$2000からとなっているのは月度売上の0.25%のうち大きい方となっているので、月度売上が$80万ドルを超えると$2000より高くなるという感じになります。
月$2000というと通常プランに比べ高くなりますが、この規模の売上の取引量になってきた場合、業界標準(2ー3%)と比べると格安です。
また上記で述べた、決済手数料も下がってくるので、大きな売上を見込んでいるマーチャントにとってはShopify Plusが最適なプランになってきます。
Shopify Plusを検討したい方へ
Shopify Plusでのオンラインストア開設・または移行などをご検討の方は弊社までご連絡ください。 日本初の日本語テーマによる『MISEル』をつかったオンラインストアの構築などを含めてご案内させていただきます。